相続放棄:名古屋市の司法書士事務所リーガルコンパス

名古屋近郊の相続放棄など相続手続を支援する愛知県名古屋市東区の司法書士事務所

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よくあるご質問

相続放棄はいつまでにしなければならないの?
相続放棄に関する手続きは、相続の開始があったことを知ってから3か月以内に行う必要があります。

相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に」しなければならないと定められています(民法915条)。
つまり、被相続人が死亡して自分が相続人になったことを知った時から3か月という短い期間内に相続放棄の手続きを行う必要があります。この3か月の期間を「熟慮期間」といいます。

熟慮期間は、原則として、次の①と②の事実を知った時から開始します。
①被相続人の死亡等によって相続が開始したこと
②自分が相続人となったこと

熟慮期間は、例外的に、家庭裁判所の審判によって伸長が認められます。
被相続人)と交流がほとんどなかったり、遠隔地に住んでいたりすると財産の状態をすぐには把握できない場合や相続財産の内容が複雑な場合など、3か月以内に相続放棄すべきかどうか検討できない場合には、相続人などの利害関係者は、家庭裁判所に対して、相続放棄の期間を伸ばすことを求める申立て(相続放棄の期間の伸長の申立て)をすることができます。


何も手続きをしないまま、相続開始から3か月が経過した場合はどうなるの?
被相続人の相続財産について、相続したものとして処理されます。

相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から 3か月以内に相続放棄などの手続きを行わないときは、相続したものとして処理されます(民法921条)。
つまり、相続人は、被相続人の相続財産(借金等の債務を含む)全てについて引き継ぐことになります。

ただし、自己のために相続の開始があったことを知った時から 3か月が経過している場合においても、一定の条件を満たすことによって、例外的に、相続放棄の手続きが認められる場合があります。

例えば、疎遠となっていた独身の兄が亡くなり、自分が(兄の)相続人であることは知っていたが、(生前においては全く交流がなかったため)兄の死後半年が経過した後、債権者から請求を受けて初めて兄に多額の借金があることを知ったという場合、3か月の熟慮期間が既に経過していることのみを理由に、相続放棄ができないと処理することは不合理であるとして、亡兄の借金の存在を知ったときから熟慮期間が開始するものと処理し、救済される場合があります。
(どのような場合に救済されるかについては、それぞれの事情を考慮して裁判所が判断します。)

(参考)最高裁昭和59年4月27日判決
相続放棄をしなかったのが被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において右のように信じるについて相当な理由があると認められる時は、熟慮期間は相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうる時から起算すべき」と判示しています。


従って、既に3か月が経過してしまっている場合でも、相続放棄が認められることがありますので、相続放棄をご検討の際は諦めずにご相談ください。


相続放棄は、遺産について負債が多い場合にしか認められないの?
相続放棄は、必ずしも故人の残した借金等の負担から逃れることを目的としてのみ行われるものではありません。

相続放棄の手続きを選択するモデルケースとして、故人(被相続人)が多額の借金等を負ったまま亡くなる事例について例示されることが多いため、誤解されていることも少なくありませんが、相続放棄は、必ずしもマイナスの遺産が多い場合に活用が限定される制度ではありません。
被相続人に借金等が一切ない場合にも相続放棄することは可能であり、借金以外の理由により申立てを行うケースも珍しくはありません。

相続放棄の手続きに際して、相続放棄の理由を管轄の家庭裁判所に対して明らかにすることを要するところ、
相続放棄申述受理申立書には、相続放棄の理由として次の事由があらかじめ印字されています。
【放棄の理由】(※相続放棄申述書より抜粋
1 被相続人から生前に贈与を受けている
2 生活が安定している
3 遺産が少ない
4 遺産を分散させたくない
5 債務超過のため
6 その他


実際に次のような事情を理由として、相続放棄の手続きを選択することがあります。
■ 相続争いの防止
【例】他の相続人と疎遠である事案や相続財産が遠方にある場合では、遺産分割協議等への関与を希望しない(相続手続に関わりたくない、相続争いに巻き込まれたくない)
■ 事業承継
【例】特定の相続人(事業を承継する長男など)に相続分(事業資産)を集中させる方法として活用する
■ 相続税対策
【例】被相続人に子供がいない事案において(被相続人の)親ではなく兄弟姉妹に対して相続権を承継させる


相続放棄をする者が未成年の場合、どうしたらいいの?
原則として、親権者が未成年者に代わって手続きを行うこととされていますが、場合によっては、特別代理人の選任が必要になります。

未成年者は、一般に社会的経験も浅く、利害を判断する知識や経験が不足し、判断能力も未熟です。
判断能力が不十分である未成年者が、社会で犠牲になり不利益を被らないように法律で保護されています。
そのため、未成年者は、原則として単独で契約の締結など法律行為ができず、その法定代理人(親権者)の同意を得ることが必要とされています。

相続放棄の申述人(相続放棄を行う方)が未成年者である場合は、(未成年者は単独で有効に法律行為を行うことできないため)原則として、法定代理人である親権者(父・母)または未成年者後見人が未成年者に代わって手続きを行います。

ただし、未成年者が相続放棄をすることについて、法定代理人(親権者、または未成年後見人)と未成年者との間で利益が相反(利害が対立)する場合などには、家庭裁判所に『特別代理人の選任申立』を行う必要があり、家庭裁判所で選任された『特別代理人』が、未成年者に代わって手続きを行います。

仮に、未成年者の子供と親権者たる親の利害が互いに対立する場合において、親が子供の法定代理人として手続きを行うことを認めると、子供について相続放棄をすることによって、親が遺産を独り占めすることも可能です。
公正中立な立場にある『特別代理人』が相続放棄の手続きに関与することによって、判断力の未熟な未成年者の利益が親によって害されることを防止します。

【特別代理人の選任が必要な場合】
●未成年者と法定代理人が共同相続人である場合に、未成年者のみが相続放棄の申述をする場合
●複数の未成年者の法定代理人が一部の未成年者を代理して相続放棄を申述する場合


※未成年者と法定代理人の利害対立関係が解消される場合は、特別代理人の選任が必要ありあません。
①法定代理人が相続放棄の申述をした後に、未成年者を代理して相続放棄を申述する場合
②法定代理人と未成年者(複数人の場合は全員)が同時に相続放棄を申述する場合



被相続人の住所や本籍が分からない場合、どうしらたよいの?
ご自身(相続人)の本籍から遡って被相続人の本籍を調査する方法などが考えられます。

相続放棄手続において、被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)または住民票を管轄の家庭裁判所へ提出する必要がありますが、 亡くなった被相続人と生前に交流がない場合など、被相続人の住所や本籍が分からないケースは珍しくありません。

住所が判明している場合
住所地の市町村役場において、被相続人に関する「本籍が記載された」住民票を取得することで本籍を確認することができます。

本籍地が判明している場合

本籍地の市町村役場において、被相続人に関する戸籍の附票を取得することによって、住所を調査することが可能です。

住所と本籍が分からない場合

相続人の戸籍から 転籍前や分籍前の本籍を調査して 戸籍(除籍、改製原戸籍など)を遡って取得することによって、 被相続人に関する(死亡の記載のある)戸籍謄本に辿り着くことができます。
戸籍謄本等には、当該戸籍謄本等が編成された理由(転籍など)とその日付が記載されています。
戸籍が新たに編成された理由などを確認することによって、その前の戸籍に関する情報(本籍地および筆頭者など)を把握することができます。
取得した戸籍謄本等より読み取った情報に基づいて、ひとつ前の戸籍謄本等を請求します。
そのようにして、ひとつずつ前の戸籍を遡って取得します。
被相続人の最終の住所は、戸籍の附票を取得し確認することによって判明します。

※保存期間が経過すると取得できない場合があります(住民基本台帳法施行令第34条)平成26年6月20日以前に消除または改製した住民票または戸籍の附票については、原則として交付を受けることが認められません。



被相続人の住民票の除票が取得できない場合は、どうすればよいの?
戸籍届書の記載事項証明書を取得して確認する方法などが考えられます。

住民票または戸籍の附票には保存期間が定められており、すでに保存期間を経過してしまっている住民票または戸籍の附票(平成26年6月20日以前に消除または改製したもの)については、原則として交付を受けることが認められません。

住民票または戸籍の附票の保存期間は150年間と定められていますが、令和元年6月20日改正前の保存期間は5年間とされていました。

従って、住民票の除票等の保存期間が満了して廃棄済みとなっている場合には、同証明書を取得して被相続人の最後の住所地を確認することができません。
また、被相続人の住民票除票又は戸籍附票は相続放棄申述手続の添付書類とされていますが、廃棄済みの場合、当該証明書を管轄裁判所に提出することがかないません。

この場合の対処方法については管轄裁判所に確認を要しますが、住民票の除票等の代わりに次の書類を取得して対応することがあります。
① 上申書
② 告知書(廃棄済証明)
③ 戸籍届書の記載事項証明書


■戸籍届書の記載事項証明書

戸籍届書の記載事項証明書とは、戸籍届出(婚姻・離婚・出生・死亡等)の内容について証明するもので、原則非公開とされています。
秘密性の高い情報が記載されているため、「利害関係人」であり、かつ、法令等で定められた「特別な事由」が認められる場合に限って発行の請求が可能です(戸籍法第48条第2項)。

戸籍届書の請求は、届出をした市区町村に行うものですが、届出から数週間(または1年)が経過すると、本籍地の市区町村を所管する法務局に届書が移管されます。
移管後は法務局での発行となりますので、請求が可能かどうか、事前に届出地の市区町村に電話等で確認することをお勧めいたします。


遺産分割協議で相続財産を放棄したから問題ないのでは?
遺産分割協議の成立によって、債権者等の第三者に対して「相続放棄」の効果を主張することはできません。

被相続人の債務は、法定相続人へその相続分に応じて引き継がれます。
相続人間で、1人の相続人が全ての債務を相続するとの遺産分割協議を成立させたとしても、それをもって(当然には)債権者に対抗することはできません。

遺産分割協議は、あくまでも「どの財産を、誰が、どれだけ引き継ぐか」について、相続人間において取り決めたものに過ぎないため、相続人以外の者に対して協議の結果を主張することは認められません。
つまり、いくら相続人全員によって「相続財産の一切を承継しない(相続を放棄する)」ことを内容とする遺産分割協議が整ったとしても、債権者の同意を得ることができなければ、被相続人の借金について、相続人の全員が債権者に対して返済の責任を負うことになります。

それに対して、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に」家庭裁判所への申述手続が必要とされている相続放棄(民法915条)の効果は、第三者に対しても主張することが認められています(絶対効・最高裁42年1月20日判決)。
家庭裁判所に対して相続放棄の申述を行い受理されなければ、法律的に相続放棄をしたことになりませんので、ご留意ください。
大阪高裁昭和31年10月9日決定
被相続人の負債即ち相続債務は、それが可分のものであれば、相続開始と同時に、当然共同相続人に、その相続分に応じて分割承継せられるのであり、また不可分のものであつても、これを特定の相続人の負担とするのは、債務の引受として債権者の承諾なき以上効力を生じない関係にあるのであるから、遺産分割の対象たる相続財産中には、相続債務は含まれないものというべきである。また遺産の分割は、相続財産たる積極財産より相続債務たる消極財産を控除し、その残額についてのみ実施されるというわけではなく、ひろく相続財産たる積極財産を対象として行われるのであるから、原審判か遺産の分割につき消極財産を計算に入れなかつたのは、当然であつて、この点に何らの違法はなく(家庭裁判月報8巻10号43頁)

最高裁判所昭和34年6月19日判決
連帯債務者の1人が死亡した場合においても、その相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範 囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解するのが相当である。 (家庭裁判月報11巻8号89頁)

東京高裁昭和37年4月13日決定
遺産分割の対象となるものは被相続人の有していた積極財産だけであり、被相続人の負担していた消極財産たる金銭債務は相続開始と同時に共同相続人にその相続分に応じて当然分割承継されるものであり、遺産分割によつて分配せられるものではない (家庭裁判月報14巻11号115頁)

相続人が他の共同相続人との間で遺産分割協議を行った場合は、原則として民法921条1項の法定単純承認事由に該当する(大阪高等裁判所平成10年2月9日決定)と解され、相続放棄が認められないおそれがありますので、注意が必要です。
遺産分割協議への関与は、相続人が相続財産につき相続分を有していることを認識し、これを前提に相続財産に対して有する相続分を処分したもの(相続財産の処分行為)と評価することができるためです。


相続放棄をしたら生命保険金は受け取ることができないの?
生命保険金の受取人の定め方(指定の方法)によって、結論が異なります。

相続放棄をすると、当該相続に関しては初めから相続人ではなかったものとみなされますので、被相続人の相続財産を承継することは認められません。

従って、生命保険金が被相続人の相続財産に属する財産として取り扱われる場合は、その取得が認められないことになります。

生命保険金とは、人の生命や傷病にかかわる損失を保障することを目的として、保険者(保険会社)と保険契約者よって締結される契約に基づき、保険者(保険会社)が保険契約者または第三者 (被保険者) の生死または傷病に関し、支払うべきことを約束する金銭です(商法673条) 。

相続放棄者による生命保険金取得の可否に対する結論は、保険契約や保険約款の内容(生命保険金の受取人の定め方と生命保険金の性質)によって異なりますので、次のとおり、場合分けをして整理いたします。

①保険金受取人として「特定の人」を指定しているケース
生命保険契約において、「特定の人」が保険金受取人として指定されている場合には、相続放棄をしても生命保険の死亡保険金を受け取ることが可能です。
この場合、指定された「特定の人」が固有の権利としての保険金請求権を有することになり、生命保険金は、被相続人の遺産(相続財産)に組み込まれることはありません。
つまり、保険金受取人は、生命保険契約に基づく権利によって生命保険金を取得することが認められるのであり、相続財産の承継には該当しないものと解されます。

②保険金受取人を「相続人」と指定しているケース
被相続人が自ら被保険者となっており、その受取人を「相続人」として指定した場合、生命保険金は、被相続人の遺産(相続財産)に組み込まれることはなく、その相続人の固有財産となります。
つまり、保険金受取人たる「相続人」が相続放棄をしたとしても、生命保険の死亡保険金を受け取ることが可能という結論になります。
(参考)最高裁第2小法廷昭和48年6月29日判決[民集第27巻第6号737頁]
保険金受取人を相続人とする条項は、被保険者が死亡した場合、被保険者の相続人に保険金を取得させることを定めたものと解すべきであり、この約款に基づき締結された本件保険契約は、保険金受取人を被保険者の相続人と指定した場合と同様、特段の事情のない限り、被保険者死亡の時におけるその相続人のための契約であると解するのが相当である。


③保険受取人について指定のないケース
相続放棄した者は生命保険の死亡保険金を受け取ることができます。
生命保険契約によって保険金受取人が指定されていない場合には、その保険契約約款に従って受取人を決することになります。
一般に、生命保険約款には、保険金受取人の指定がない場合の取扱いとして「被保険者の相続人に支払う」旨の条項がありますので、当該保険約款の定めに従って「法定相続人」を保険受取人として取り扱います。
この場合における生命保険金の支払いを受ける権利は、被相続人の相続財産に属するのではなく、「法定相続人の固有の権利」と解されています(最二小判昭和48年6月29日等)。
法定相続人が複数いる場合には、それぞれの相続分に応じて、各共同相続人の固有財産となり、相続財産には含まれないものとして取り扱われます。

④保険金受取人として被相続人(自ら)を指定したケース
この場合の生命保険は、被相続人が「自らの為に」契約したものいえます。
被相続人の「保険金を受け取る権利」は相続の対象となり、その相続人はを相続によって、当該保険金請求権を取得することになります。
従って、相続放棄によって相続人から離脱した者については、相続する権利(相続権)がありませんので、当該生命保険金を取得することは認められません。


相続放棄によって遺族年金は受けられなくなるの?
相続放棄を申述しても遺族年金を受け取ることが認められ、また、遺族年金の支給を受けていても、相続放棄の申し立ては可能です。

厚生年金や国民年金などの被保険者であった人が亡くなったときは、遺族の方に対して遺族年金が支給されます(国民年金法37条、厚生年金保険法59条)。

遺族年金の制度趣旨は、故人と生計を同じくしていた遺族の生活保障にあるところ、生活保障の必要性は、相続放棄の有無によって影響を受けるものではありません。
遺族年金については、その受給権者や支給に関する規定が法律で個別に定められており、また、遺族の生活保障という趣旨で給付される金銭であるため、受給権者(遺族)固有の権利であると解されています。

相続放棄をすると相続人ではなかったものとみなされ、遺産を相続することは認められませんが、遺族年金は遺族がその固有の権利に基づき受給するものであり、相続財産には含まれないため、相続放棄によって当該年金を受給する権利が否定されることはありません。

(参考)大阪家裁昭和59年4月11日審判
厚生年金保険法58条は、被保険者の死亡による遺族年金はその者の遺族に支給することとし、同法59条で妻と18歳未満の子が第一順位の受給権者としているが、同法66条で妻が受給権を有する期間、子に対する遺族年金の支給を停止すると定めている。そして妻と子が別居し生計を異にした場合でも分割支給の方法はなく、その配分の参考となる規定はない。同法は、相続法とは別個の立場から受給権者と支給方法を定めたものとみられ、支給を受けた遺族年金は、固有の権利にもとづくもので、被相続人の遺産と解することはできない。



相続放棄をすると未支給年金はもらえなくなるの?
相続放棄を申述しても未支給年金を受け取ることができ、また、未支給年金を受け取っていても、相続放棄の申立ては可能です。

年金を受けている人が亡くなったときにまだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振込みされた年金のうち、亡くなった月分までの年金(その人に支払われるはずであった未払いの年金)は、未支給年金(国民年金法19条1項、厚生年金保険法37条1項、国家公務員共済組合法45条、地方公務員等共済組合法47条等)として、その者と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。
未支給年金請求権については、当該死亡した受給権者(被相続人)に係る遺族が、当該未支給の年金を自己の固有の権利として請求するものと解されています。

未支給年金の支給請求することのできる者の範囲及び順位は、民法の規定する相続人の範囲及び順位と異なっっています、これは民法の相続とは別の被保険者(被相続人)の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とした立場から未支給の年金給付の支給を一定の遺族に対して認めたものと解されています。

相続放棄をすると相続人ではなかったものとみなされ、遺産を相続することは認められませんが、未支給年金は遺族がその固有の権利に基づき受給するものであり、相続財産には含まれないため、相続放棄によって当該年金の受給権が消滅することはありません。

(参考)最高裁平成7年11月7日判決
国民年金法19条1項は、「年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。」と定め、同条5項は、「未支給の年金を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。」と定めている。右の規定は、相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものであり、死亡した受給権者が有していた右年金給付に係る請求権が同条の規定を離れて別途相続の対象となるものでないことは明らかである。



被相続人の相続財産から同人に関する葬儀費用を支出した場合は、相続放棄が認められないの?
葬儀費用を遺産から支出したことを原因として 相続放棄が認められなくわけではありません。

ただし、相続財産からの支出が許容されるのは、葬儀が身分相応といえる必要最小限の範囲である点に注意が必要です。
つまり、葬儀費用という名目の支出だからといって無制限に認められているわではなく、社会通念上妥当な金額であることが求められています。

また、裁判所や債権者からの釈明に対してきちんと応答できるように、葬儀費用に関する領収書や明細書などをしっかりと保管しておくことが大切です。
大阪高等裁判所平成14年7月3日決定(家庭裁判月報55巻1号82頁)
葬儀は、人生最後の儀式として執り行われるものであり、社会的儀式として必要性が高いものである。そして、その時期を予想することは困難であり、葬儀を執り行うためには、必ず相当額の支出を伴うものである。これらの点からすれば、被相続人に相続財産があるときは、それをもって被相続人の葬儀費用に充当しても社会的見地から不当なものとはいえない。
また、相続財産があるにもかかわらず、これを使用することが許されず、相続人らに資力がないため被相続人の葬儀を執り行うことができないとすれば、むしろ非常識な結果といわざるを得ないものである。
したがって、相続財産から葬儀費用を支出する行為は、法定単純承認たる「相続財産の処分」(民法921条1号)には当たらないというべきである。

大阪高等裁判所昭和54年3月22日判決(判例タイムズ380号72頁)
遺族として当然なすべき被相続人の火葬費用ならびに治療費残額の支払に充てたのは、人倫と道義上必然の行為で あり、公平ないし信義則上やむを得ない事情に由来するものであつて、これをもつて、相続人が相続財産の存在を知つたとか、債務承継の意思を明確に表明したものとは いえないし、民法921条1号所定の「相続財産の一部を処分した」場合に該るものともいえないのであつて、右のような事実によつて抗告人が相続の単純承認をしたも のと擬制することはできない。


被相続人の不動産に課せられた固定資産税は、相続放棄をしても納める必要があるの?
原則として、相続放棄を行った者が 被相続人名義の不動産に課せられた固定資産税の納税義務を負うことはありませんが、相続放棄者が 固定資産税課税台帳等に登録された状態で納税を求められた場合には納税する必要があります。

相続放棄の効果については「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」と規定されており(民法939条)、「この効力は絶対的で、何に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」と取り扱われています(最判昭和42年1月20日)。
従って、原則として、被相続人名義の不動産に対して課税された固定資産税について、相続放棄の手続を行った相続人は納税義務を負わないと解されます。

ただし、登記や固定資産税課税台帳に登録されている場合には、注意が必要です。
地方税法第343条第2項前段は、固定資産税における納税義務者である固定資産の所有者について、賦課期日(当該年度の初日の属する年の1月1日)時点で「土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者(中略)として登記又は登録されている者をいう」と規定しています(台帳課税の原則)。
固定資産課税台帳等に所有者として登録されている者が真の所有者であることは必要とされていません。

地方税法343条
1項 固定資産税は、固定資産の所有者…に課する。
2項 前項の所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者…として登記又は登録されている者をいう。この場合において、所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死亡しているとき…は、同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうものとする。


市町村が登記簿に所有者として登記されている者を所有者として課税した場合は、たとえ当該登記簿の記載事項に誤りがあったとしても、その課税は違法ではないと解されており、相続登記により登記簿上所有者とされている者に対してなされた固定資産税の賦課処分は、その後登記名義人が相続放棄をしても適法であると判示した裁判例が存在します。
横浜地裁判平成12年2月21日判決(判例自治205号19頁)
被相続人の債権者が代位により相続登記を経由した結果、賦課期日に登記簿上所有者とされている者に対してなされた固定資産税及び都市計画税賦課処分は、台帳課税主義は、多数の固定資産につき限られた人員で短期間に徴税事務を行わなければならないところ、所有権の帰属の判定に困難を伴うことから、徴税の便宜を図る必要があるという理由によるものであり、法律が明示的に認めている場合以外に、台帳課税主義の例外を認めることは許されないとして、その後、登記名義人らが相続放棄してもその課税処分は適法である。

最高裁平成26年9月25日判決(民集第68巻7号722頁)
土地、家屋及び償却資産という極めて大量に存在する課税物件について、市町村等がその真の所有者を逐一正確に把握することは事実上困難であるため、法は、課税上の技術的考慮から、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳…に所有者として登記又は登録されている者を固定資産税の納税義務者として、その者に課税する方式を採用しており(343条 2 項前段)、真の所有者がこれと異なる場合における両者の間の関係は私法上の求償等に委ねられているものと解される。


相続人が相続放棄をしたかどうかを知りたいが、どうしたら調べられるの? 
相続人(又は法定相続人であった者)について、相続放棄(限定承認)の申述が行われているかが不明である場合、家庭裁判所にその有無を照会することができます。

先順位の相続人がいる場合、その者が相続放棄をしたとすれば、次順位相続人が法定相続人となります。
従って、先順位相続人が相続放棄等の申述を行ったか否かということは、次順位相続人にとって重大な関心事項であります。

また、被相続人に対する利害関係人にとっても、相続放棄申述の有無は相続人への請求等の可否に影響することであり、相続放棄等の申述の有無について確認が必要となります。

しかし、相続放棄等の申述の有無にういて、相続人(本人)に対し(直接)確認することが難しいケースは少なくありません。

そのような場合、家庭裁判所に対して「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会」を申請することにより、相続放棄等の申述の有無を確認することができます。

なお、調査可能な期間は、下記のとおり定められており、それ以上の期間の照会には応じてもらえませんので、ご注意ください。

ご参考までに、「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会手続」について、ご紹介いたします。

■ 調査可能な期間
・第1順位者については被相続人の死亡した日から3か月間のみ
・後順位者については先順位者の放棄の受理がされた日から3か月間のみ

■ 照会の申請が可能な者

・相続人(照会者自身が相続放棄・限定承認の申述をしたか否かは問いません)
・被相続人に対する利害関係人(相続債権者、徴税官署等)

■ 必要書類(照会申請の添付書類)

照会者(申請人)摘 要
相続人利害関係人
被相続人の戸籍(除籍)謄本照会者が被相続人の相続人であることを確認するため、被相続人の相続関係を明らかとなる書類を提出します。
原則として、被相続人の出生から死亡した記載のあるもの全てが必要です。
被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票被相続人の死亡の事実と最後の住所地を確認するための書類です。
相続人の住民票の除票は、本籍地が表示されていることが必要です。
保存期間の経過等により取得できない場合は、被相続人の最後の住所地に関する事情説明書を提出します。
相続人の戸籍謄本等照会者と被相続人との関係を明らかにするため、戸籍謄本等を提出します。
照会者の資格証明資料・本人確認資料[個人の場合] 運転免許証、健康保険証など
[法人の場合] 会社謄本又は資格証明書など
利害関係疎明資料被相続人との利害関係を疎明する資料するために提出します。
【例】利害関係の内容、利害関係人の住所及び氏名、被相続人の住所、氏名及び生年月日を確認できる契約書、不動産登記事項証明書、判決書等のコピー(契約書等だけでは利害関係を把握できない場合には、利害関係を具体的に記載した利害関係説明書)など
なお、被相続人の住所地につき同書面上の住所地と被相続人の住民票上の住所地とが異なっている場合は、「被相続人の戸籍の附票」等を別途提出し、住所が変更している事実を疎明する必要があります。
債権回収委託関係確認資料  ○照会者が利害関係人から債権回収の委託を受けた者である場合には、利害関係人から照会者への委託を確認できる証明書の原本又は委託に関する契約書などの提出が必要です。
返信用封筒と返信用切手郵送の方法により書類返却を希望する場合に必要です。
※提出する戸籍謄本等や資料は【コピー】で構いません。

■ 照会手数料
照会手続について、家庭裁判所に納付する手数料は不要です。

■ 申請書提出先
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所

■ 照会申請書
「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会申請書」及び「相続人目録」の必要事項を記入し、管轄の家庭裁判所へ提出します。
照会に当たっては、照会対象者を「相続人目録」により特定することが必要です。
照会対象者の氏名のほか、被相続人の氏名、死亡時の最後の住所及び死亡年 月日は、必ず戸籍(日本国籍を有しない場合には住民票の写し等)の記載どおり正確に記入することが求められます。

ご参考までに、名古屋家庭裁判所の書式をご紹介いたします。
※申請書の様式については、裁判所によって異なりますのでご注意ください。
● 相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会申請書
● 別紙相続人目録

弊事務所は、相続放棄・限定承認の申述の有無照会手続をサポートいたします。
お気軽にご相談ください。


相続放棄をしたいが、どこの裁判所に申請すればよいの?
「被相続人の住所」を管轄する家庭裁判所に申し出る必要があります(家事事件手続法4条)。

「被相続人の住所」とは、一般的には「亡くなった方の住民票上の住所」を意味します。
故人が住民票上の住所ではないところを生活の本拠としていた場合は、「生活の本拠地」を被相続人の住所として取り扱います。
日本に住所がなかったり 住所が不明の場合は、「居所(生活の本拠地とまではいえない生活の場)」を被相続人の住所とみなします。
日本に居所がなかったり 居所が不明の場合は、「最期の住所地」を被相続人の住所地として管轄の裁判所を決めます。

(参考)家庭裁判所の管轄区分 -愛知エリア-      
管轄裁判所管轄区分
名古屋家庭裁判所(本庁)
家事受付センター
〒460-0001 名古屋市中区三の丸1-7-1
TEL 052-223-2830
名古屋市,豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町,蟹江町,飛島村)
名古屋家庭裁判所 一宮支部
〒491-0842 愛知県一宮市公園通4-17
TEL 0586-73-3191
一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町,扶桑町)
名古屋家庭裁判所 半田支部
〒475-0902 愛知県半田市宮路町200-2
TEL 0569-21-1610
半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡 (阿久比町,東浦町,南知多町,美浜町,武豊町)
名古屋家庭裁判所 岡崎支部
〒444-8550 愛知県岡崎市明大寺町奈良井3
TEL 0564-51-8972
岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市,豊田市,みよし市
名古屋家庭裁判所 豊橋支部
〒440-0884 愛知県豊橋市大国町110
TEL 0532-52-3237
豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町,東栄町,豊根村)


相続放棄に似た制度で、「限定承認」という手続きがあると聞いたが、どんな手続きなの?
限定承認とは、「プラスの相続財産」を限度として「マイナスの相続財産」を引き継ぐ方法です。相続財産につき負債超過のおそれがある場合にその清算を行い、その結果債務が残れば責任を負わず、正味財産が残れば、それを相続するという制度です。

民法922条は「相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる」と規定しています。

相続放棄が、被相続人の資産のうち、「プラスの相続財産」および「マイナスの相続財産」の一切について「放棄する(相続しない)」という手続きであるのに対して、
「限定承認」は、被相続人の「プラスの相続財産」と「マイナス相続財産」を精算して、なお財産が余剰がある場合は、その余剰分を限度として「相続する」という手続きです。
仮に、「マイナスの相続財産」のほうが多い場合であっても、「プラスの相続財産」を超える部分については、返済義務を引き継ぐことはないため、相続した遺産の中から相続債務を弁済すれば足りることになります。

限定承認の場合には、相続財産について清算が開始されるため、相続人は相続財産を自由に処分することが許されません。

限定承認は、次のようなケースにおいて利用が期待されます。
 ●被相続人の借金の有無や総額が不明な場合
 ●債務が超過しているかどうかはっきりしない場合
 ●相続財産の範囲内であれば借金などを引き継いで良いと思える場合
 ●債権の目途がたってから返済する予定であるような場合
 ●借金の総額について把握でき、返済が可能な場合
 ●借金を相続することを加味してもなお、どうしても相続したい遺産があるような場合

相続人にとって、都合の良い制度のように見えますが、次のとおり手続きが煩雑であるため、あまり活用されていません。

限定承認をする場合には、以下の手続きが必要となります。
相続人が複数人ある場合は、相続人全員の総意に基づき、家庭裁判所への申立てを共同で行う
自分のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、財産目録を調整して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述する(ただし期間伸長の申立てが可能)
申立て後5日以内に、相続債務者(相続財産について債権を有する者)や受遺者(遺贈を受ける予定の者)に対して、限定承認をした旨および一定の期間内(2か月を下ることはできない)にその請求の申し出をすべき旨を官報に公告する
相続人が知っている相続債権者や受遺者に対して、個別に催告を行う

(参考)相続放棄と限定承認の比較
限定承認相続放棄
メリット「プラスの相続財産」の範囲内でのみ、「マイナスの相続財産」を引き継げば足りるため、被相続人が債務超過の状況にある場合でも、相続人は自己の固有の財産を守ることができる●相続人としての手続き(遺産分割協議など)に関わる必要がなくなる
●被相続人の「マイナスの相続財産」を引き継がなくて済むため、相続人は自己の固有の財産を守ることができる
デメリット●譲渡所得税などについて課税リスクがある
●手続きが複雑であり、完了するまで時間を要する
遺産の一切について相続することが許されない
活用場面相続財産について債務超過の状況にあるか否かが不明な場合 など相続財産について債務超過の状況にあることが明らかな場合 など
申述手続相続人全員が共同して申述を行う各相続人が単独で申述を行う


相続放棄は、司法書士など専門家に依頼しなければできないの?
相続放棄に関する手続きは、ご本人において可能です。

相続放棄に関する手続きは、司法書士など専門家に頼まなければならないものではありません。
必要書類を揃えて「相続放棄申述書」をきちんと作成することにより、ご自分で相続放棄の手続きを行うことは可能です。
ただし、相続放棄の申請は、原則として、(自分にとって)相続が開始したことを知ってから3か月という短い期間のうちに行わなければならず、内容に不備があって裁判所に相続放棄を認めてもらえなかった場合にはやり直し(再度の申立て)が認められないなど、失敗の許されない手続きであるため、 安心・確実に相続放棄の手続きを行いたい方は、司法書士など専門家にご依頼されることをお勧めいたします。


被相続人に関する除籍謄本等をすべて集めるよう言われたが、 どうやって集めれば良いの?  
はじめに、被相続人(亡くなった方)について死亡の記載のある戸籍謄本等を取得します。
  
取得した戸籍謄本等には、当該戸籍謄本等が編成された理由(転籍など)とその日付が記載されています。
戸籍が新たに編成された理由などを確認することによって、その前の戸籍に関する情報(本籍地および筆頭者など)を把握することができます。
取得した戸籍謄本等より読み取った情報に基づいて、ひとつ前の戸籍謄本等を請求します。
そのようにして、ひとつずつ前の戸籍を遡って取得します。    

本籍地の異動(転籍)が少ない場合はそれほど大変ではありませんが、異動が多い場合は、各自治体より取り寄せることが必要となるなど煩雑です(本籍地が遠方である場合は、郵送による方法で、戸籍謄本等を請求することが可能です)。
なお、本籍地を異動しているかどうかはご本人でなければ分からないことが多いため、実際に戸籍謄本等を取得して、異動の多さに気づくことも珍しくはありません。
また、昔の戸籍謄本等は手書きでかつ達筆で記載されていて読みにくいので、慣れていないと判読するのに苦労することが予想されます。


銀行で「相続放棄申述受理証明書」が必要だと言われたけど、どんな書類なの? 
「相続放棄申述受理証明書」は、相続放棄をしたことを明らかにする証明書です。
  
相続放棄の申述が受理された後に、管轄家庭裁判所が申述人あてに送付する「相続放棄申述受理通知書」は、『相続放棄申述を受理したこと』を通知する文書であるため、対外的な証明として認められない場合があります。
例えば、「相続財産管理人選任審判の申立」を行う際には、管轄の家庭裁判所に「相続放棄申述受理証明書」の提出が必要とされています。
また、金融機関によっては預貯金の解約等の手続において「相続放棄申述受理証明書」の提出を求められることがあります。

なお、相続に伴う不動産の名義変更手続(登記申請)では、必ずしも「相続放棄申述受理証明書」の提出は必要ありません。  
(参考)登記研究808号147頁・質疑応答7969
相続を原因とする所有権の移転の登記の申請において、相続放棄申述受理証明書と同等の内容が記載された「相続放棄等の申述有無についての照会に対する家庭裁判所からの回答書」や「相続放棄申述受理通知書」を登記原因を証する情報の一部とすることができる。

「相続の放棄をした者がいる場合における相続を登記原因とする所有権の移転の登記の申請には「相続放棄申述受理通知書」を登記原因を証する情報の一部とすることはできない(登記研究720号205頁・質疑応答7862)」という従来の取り扱いが変更されました。


「相続放棄申述受理通知書」を紛失された場合には、当該通知書の再交付を受けることはできませんが、必要に応じて「相続放棄申述受理証明書」を取得し対応することが可能です。
(相続放棄申述受理証明書は再発行が認められています。)


「相続放棄申述受理証明書」は取得する必要があるの?
「相続放棄申述受理証明書」は、必ず取得しなければならない書類ではありません。
証明書取得の要否については、事案に応じてご判断ください。

  
相続放棄の申述を行い受理されると、管轄の家庭裁判所から申述人に対して「相続放棄申述受理通知書」が送付されますが、その通知書の中に「相続放棄申述受理証明書」の取得に関する案内文書が同封されることがあります。
裁判所の案内文書をご覧になった依頼者から、「相続放棄申述受理証明書」の取得の要否についてお問い合わせを承る事がよくあります。

証明書取得の要否については、債権者等から提出を求められているなど「相続放棄申述受理証明書」を必要とする具体的な事情が生じていなければ、当該証明書を取得する必要はないものと考えます。
「相続放棄申述受理証明書」は、相続放棄が申述受理された後、いつでも取得が可能であるため、当該証明書が必要になった時点で取得手続を行えば足りると考えます。

取得可能期間
「相続放棄申述受理証明書」を取得することのできる期間について、決められた制限はありません。
ただし、相続放棄に関する書類(申述書)の保存期間が30年(事件記録等保存規程 別表第一 17参照)と定められているため、30年を超えると管轄裁判所において相続放棄に関する資料を確認できなくなるため、相続放棄申述受理の事実を証明できず、「相続放棄申述受理証明書」の発行が認められなくなりますので、注意が必要です。

取得方法
相続放棄申述受理証明書の交付を受けるためには、「相続放棄申述受理証明書の交付申請書」に必要事項を記入し家庭裁判所へ提出します(郵送による方法も認められています)。
ご参考までに、名古屋家庭裁判所の書式をご紹介いたします。
※申請書の様式については、裁判所によって異なりますのでご注意ください。
●相続放棄申述受理証明書の交付申請書
●相続放棄申述受理証明書の交付申請書【記載例】

なお、ご依頼により、弊事務所が相続放棄申述受理証明書の取得手続を代行いたしますので、お気軽にご相談ください。


事務所に赴くことが難しいが、出張相談には対応しているか?
弊事務所は、出張相談にも対応しております。

名古屋市近郊に在住のお客様であれば、お客様のご事情を伺った上、無料にてご自宅へ出張対応いたします。 次のようなご事情で、ご来所が困難であるお客様につきましても、柔軟に対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
①ご高齢のお客様
②お身体の不自由なお客様
③小さなお子様がいらっしゃるため、外出の困難なお客様
④その他、相続放棄の手続きについてご依頼を前提とされているお客様


事務所に赴くことが難しいが、出張相談には対応しているか?
弊事務所は、出張相談にも対応しております。

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①ご高齢のお客様
②お身体の不自由なお客様
③小さなお子様がいらっしゃるため、外出の困難なお客様
④その他、相続放棄の手続きについてご依頼を前提とされているお客様


司法書士に相続放棄を依頼する際、あらかじめ準備しておいた方が良いことはあるの?
ご相談に際しての事前準備は特段必要ございません。

なお、司法書士と相続放棄に関する手続きについて打ち合わせをする場合、(可能な限りで結構ですので)次の質問事項について、あらかじめ整理されますと手続きをスムーズに進めることが可能です。
① 相続手続をする被相続人(亡くなった方)の本籍地および最後の住所
② 法定相続人の本籍地および住所
③ 相続財産の内容


土・日・祝祭日は対応可能か? 
事前にご予約いただければ、土・日・祝祭日でも対応可能です。

お仕事等でお忙しい方のために、土・日・祝祭日など営業時間外にも可能な限り相談等に対応いたします。
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