遺贈 遺言者が、遺言によって、遺産の全部または一部を 相続人または第三者(受遺者)に対して無償で譲る行為です(民法964条)。 受遺者は、自然人、法人を問いません。 「遺贈」は、死因贈与のように契約ではないため、受贈者(贈与を受ける者)の意思(合意)に関係なく 贈与者(贈与する者)が一方的に意思を示せば足りるとされています(単独行為)。 「遺贈」は、遺産の全部または遺産の分数的割合(○分の○)を受遺者に譲与する[包括遺贈]と特定の遺産を受遺者に譲与する[特定遺贈]に分類されます。 |
遺言内容 | 登記原因 | 登記先例 |
相続人全員に対して特定の財産を遺贈する | 遺贈 | 昭和58年10月17日民三5987号回答 |
相続人の一部の者に対して遺産全部又は割合的一部を遺贈する | 遺贈 | 昭和38年11月20日民甲3119号回答 |
相続人の一部の者に対して特定の財産を遺贈する | 遺贈 | 昭和48年12月11日民三8859号回答 |
相続人と相続人ではない者に対して遺産全部又は割合的一部を遺贈する | 遺贈 | 昭和58年 3月 2日 民三1310号回答 |
相続人以外の者に対して遺産全部又は割合的一部を遺贈する | 遺贈 | 昭和29年 5月 6日 民甲968号回答 |
相続人の一部の者に対して特定の財産を相続させる | 相続 | 昭和47年 4月17日 民甲1442号通達 |
相続人の一部の者に対して遺産の全部を相続させる | 相続 | 昭和47年4月17日 民甲1442号通達 |
遺言内容 | 登記原因 | 登記先例 |
相続人全員に対して遺産の全部を遺贈する | 相続 | 昭和38年11月20日民甲3119号回答 |
相続人以外の者に対して遺産全部又は割合的一部を相続させる | 遺贈 | 登記研究369号 登記研究480号 |
相続 | 遺贈 | ||
包括遺贈 | 特定遺贈 | ||
放棄の方法 | 3か月以内に家庭裁判所に申述を行う※ | いつでも可能※ | |
遺言の執行 | 不要 | 必要 | |
登記申請構造 | (受益)相続人による単独申請 | 受遺者と遺言執行者又は遺言者の相続人の共同申請(昭和33年4月28日民甲799号) | |
登録免許税率 | 0.4% | 2%※ | |
農地法の許可 | 不要 | 必要※ | |
賃貸人の承諾 | 不要 | 必要(民法612条) |
包括遺贈 遺言者が、受遺者に対し無償譲与する対象範囲について、相続財産の全部又は自己の財産全体に対する割合を示してする遺贈です。。 包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有する(民法990条)ため、相続人と同じ立場で遺産分割にあずかることのできる地位につきます。 ※包括遺贈の放棄は、自己のために遺贈のあったことを知った日から3か月以内にしなければならない(民法990条、同915条1項)。 特定遺贈 遺言者の有する特定の財産を、特定の相続人または特定の第三者に対して無償で譲与することです。 ※特定遺贈の放棄は、遺贈者の死後いつでもできます(民法986条)。 |
必要書類 | 補足説明 |
遺言書 | 遺言書の内容(遺言者の最終意思)を証明します。 ※自筆証書遺言の場合、家庭裁判所において検認手続が必要です。 |
登記済証(権利証)または 登記識別情報通知 | 登記済証は、「受付年月日」「受付番号」「登記済」と記載された朱色四角の印が押捺されているのが特徴です。 登記識別情報通知は、A4サイズの緑色の様式で下部に目隠しシールが貼付されているのが特徴です。 |
除籍謄本等 | 遺言の効力が生じていること(遺言者死亡の事実)を明らかにします。 ※有効期限はありません。 |
住民票の除票 または 除かれた戸籍の附票 | 被相続人について登記名義人との同一人性を確認するために必要です。 ※有効期限はありません。 ※本籍地の記載のあるものをご用意ください。 ※保存期間が経過すると取得できない場合があります(住民基本台帳法施行令第34条)平成26年6月19日以前に消除または改製した住民票または戸籍の附票については、原則として交付を受けることが認められません。その際は「所有権に関する被相続人名義の登記済証」をご用意願います(平成29年3月23日民二第174号)。 |
必要書類 | 補足説明 |
遺言執行者の印鑑証明書 | 有効期限(発行日より3か月以内)のものをご用意願います。 |
遺言執行者の印鑑(実印) | 登記関係書類に実印を押印することにより、不実の登記(不正登記)を防止します。 |
本人確認資料 | 運転免許証、パスポート、住基基本台帳カード、健康保険証、国民年金手帳、その他「住所・氏名・生年月日」について記載のある証明書 をご用意ください。 |
遺言執行者の選任審判書 | 家庭裁判所の選任した者が遺言執行者に就任した場合に必要です。 |
必要書類 | 補足説明 |
遺言者に関する除籍謄本等 | 遺言者の相続人を確定するために、遺言者の出生から死亡した記載のあるもの全てが必要です。 例えば、転籍や婚姻などで本籍が現在と異なる場合、転籍前や婚姻前の本籍地所在地の 市区町村役場で、除籍謄本や改正原戸籍を取得しなければなりません。 現在の戸籍謄本がコンピューター化されている場合、(記載内容が同一であっても)コンピューター化前の改製原戸籍も取得しなければなりません。 ※戦災や保存期間経過に伴う廃棄処分により取得できない場合があります。その際は、取得できない旨の証明書(告知書など)を取得します。 ※有効期限はありません。 |
遺言者の法定相続人全員に関する戸籍謄抄本 | 遺言者の法定相続人であること及び現在も生存していること(実在性)を証明するために必要です。 ※有効期限はありません。 ※相続開始後において取得した証明書でなければなりません。 |
遺言者の法定相続人全員に関する印鑑証明書 | 有効期限(発行日より3か月以内)のものをご用意願います。 |
遺言者の法定相続人全員に関する印鑑(実印) | 登記関係書類に実印を押印することにより、不実の登記(不正登記)を防止します。 |
本人確認資料 | 運転免許証、パスポート、住基基本台帳カード、健康保険証、国民年金手帳、その他「住所・氏名・生年月日」について記載のある証明書 をご用意ください。 |
必要書類 | 補足説明 |
住民票 または 戸籍の附票 | 遺言者が転居等によって住所を異動され、登記記録上の住所が現在の住所と異なる場合に必要となります。 登記記録上の住所から現在の住所までの異動の履歴(変遷)を明らかにします。 |
地番変更証明書 など | 市区町村の合併や住居表示の実施などに伴って地番が変更された場合に必要となります。 例えば、登記記録上の住所が「●番地●」であり、現在のご住所が「●丁目●番●号」となっている場合です。 |
必要書類 | 補足説明 |
戸籍謄(抄)本 | 遺言者が結婚・離婚などに伴い氏名(姓)を変更され、現在の氏名が登記記録上の氏名と異なる場合に必要となります。 氏名(姓)について変更が生じた事実と原因を明らかにします。 |
住民票 または 戸籍の附票 | 登記名義人(遺言者)と戸籍謄(抄)本に登載されている者が同一人であることを明らかにします。 登記記録には「住所・氏名」のみが記載されているところ、戸籍謄(抄)本には「本籍地・氏名」が記載されているにすぎないためです。 ※本籍地の記載のあるものをご用意ください。 |
必要書類 | 補足説明 |
遺言に基づき不動産を相続する者に関する戸籍謄抄本 | 受遺者が遺言の効力発生時に生存していたことや、遺言者の相続人であること(夫婦の場合は離婚していないこと、養子の場合は離縁していないこと)などを証明します。 ※受遺者が自然人の場合に必要です。 ※有効期限はありません。 ※相続開始後において取得した証明書でなければなりません。 |
遺言に基づき不動産を承継する者に関する住民票 又は 戸籍の附票 | 戸籍謄抄本と印鑑証明書に記載されている情報の整合性(氏名・生年月日などの同一性)を明らかにします。 ※受遺者が自然人の場合に必要です。 ※住民票コード(住民基本台帳法第7条第13号に規定されているもの)を提供した場合は、添付情報として住所証明情報(住民票の写し)の提出を省略することができます。 |
印鑑 | 登記関係書類にご捺印を頂戴する際に必要です。 ※実印である必要はございません。 ※スタンプ型印鑑(シャチハタ)の使用は認められません。 |
本人確認資料 | 運転免許証、パスポート、住基基本台帳カード、健康保険証、国民年金手帳、その他「住所・氏名・生年月日」について記載のある証明書 をご用意ください。 |
遺贈対象物件の固定資産税評価証明書 | 遺贈に伴う登記申請に係る登録免許税を計算するための課税標準金額を明らかにします。 ※相続登記の申請時における最新年度の証明書をご手配ください。 |
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