会社登記:名古屋市の司法書士リーガルコンパス

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資本金の額の減少(減資)

「税務上の負担を軽減するために、資本金の額を減少したい」
「欠損填補を目的として、資本金を減らしたい」
「自己株式を取得するための財源確保のため、減資したい」



資本減少とは

株式会社の資本金の額は、株主資本の部の一項目であり、資本減少とは、資本金等という株主資本の部の「資本金の額」の係数を減少することをいいます。

会社法では、最低資本金制度が撤廃されましたので、法律に則って手続きを行うことによって、資本金の額を0 円まで減少させることも可能です。

資本金の額は、株主に対する剰余金の配当や自己株式取得ための財源の限度額(分配可能額)、税務、各種許認可の取得など、会社に対して様々な影響を与えてます。

税務上の取扱い等を考慮すると、会社運営において、資本金の額は“大きく”ない方が望ましい場合もあります。

中小企業では、欠損填補や分配可能額の創出だけでなく、税務上の問題や助成金受給のための資格要件をクリアするために、減資を必要とするケースがあります。

会社法施行以前に設立している株式会社は、資本金が1000万円以上となっていますが、個々の株式会社の規模や状況によって、今後は資本金の額を減少する会社が増えることが予想されます。


1.株式会社・特例有限会社の場合


減資の目的

資本金の額を減少する主な目的について、次のとおりご紹介いたします。

欠損の填補
財務体質を改善することを目的として、欠損の填補のために、資本金の額の減少が行われるケースが多いです。
会社に欠損(※1)がある場合に、資本金などを減少させ、その減少分を欠損金に充当することで、欠損金の解消をはかること(欠損の填補※2)が可能です。
なお、資本金の額を減少させることにより欠損が填補されるが、損失の処理(※3)のためには別に剰余金の処分(会社法452条)が必要である点に留意が必要です。
(※1)分配可能額(≒その他資本剰余金とその他利益剰余金の合計額から自己株式の簿価を減じた金額[会社法462条参照])がマイナスの状態のこと
(※2)分配可能額をプラスにすること
(※3)その他資本剰余金からその他利益剰余金に振り替えて、その他利益剰余金を0円にすること

分配可能額の創出
剰余金の配当や自己株式の取得を可能にすることなどを目的として、分配可能額を創出するために、資本金の額の減少も多く行われています。

中小企業の要件
「中小企業」の要件に該当することを目的として、資本金の額を減少する場合があります。
中小企業の要件に該当することによって、①助成金の受給②中小企業退職金共済制度の利用③中小企業施策の活用④中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律による民法の特例の適用④中小企業の事業承継税制の適用⑤中小企業税制の適用など、様々な優遇措置を受けることができます。

外形標準課税の回避
資本金の額が1億円を超える法人は、外形標準課税の課税対象とされています。
資本金の額を減少させて1億円以下にすることによって、外形標準課税の課税対象から外れることを図ることが可能です。

会社法の規制からの解放
大会社(会社法2条6号)は、資本や負債が多額であることから、投資家保護や債権者保護の観点から、会社法において計算書類の適正や情報開示に関する規制が定められています。
また、顧客や取引業者、従業員等が多数存在し社会への影響が大きいと想定されることから、社会への影響の観点からも、その業務が適正に行われるよう、企業統治関する規制があります。
例えば、大会社では、公開会社(委員会設置会社を除く。)においては、監査役会及び会計監査人を置かなければならず、公開会社でない株式会社(委員会設置会社を除く。)においても、会計監査人を置かなければならなりません(会社法328条)。
損益計算書についての公告義務(440条1項)や連結計算書類作成義務(444条3項)が課せられています。
負債総額が200億円未満の株式会社において、資本金の額を5億円未満として大会社の要件から外れることによって、会社法の定める規制から解放され負担を軽減することが可能です。

※ 税務上の問題や会計処理について、事前に税理士等にご相談のうえ、会社の状況に応じてご検討をお願いいたします。


実質上の減資?  形式(名目・名義)上の減資とは?

資本金の減少に関する手続きを分類する際に、「実質上の減資」や「形式(名目)上の減資」という用語を用いることがあります。

実質上の減資とは
株主への会社財産の払い戻しを伴う減資(有償減資)のことをいいます。
事業の縮小や剰余金の配当、自己株式の取得を実施することを目的として、会社の規模を縮小するために実施します。
株主に対して会社財産の払い戻しが行われるので、会社財産が現実に減少します。

形式(名目・名義)上の減資とは
資本の欠損補填のために行う、株主への財産の払い戻しを伴わない減資(無償減資)のことです。
帳簿上の資本金額が変更されるだけであるため、実際の会社財産は減少しません。

減資による均等割の減額

平成27年度税制改正によって、一定の条件を満たす場合、無償減資によって住民税均等割の額を引き下げることが認められました。
具体的には、以下のものを法人住民税均等割の税率区分の基準である「資本金等の額」から減額することが可能であり、その結果、均等割の負担が下がる可能性を生じます。

■平成13年4月1日~平成18年4月30日に実施した無償減資
・資本又は出資の減少による資本の欠損填補に充てた金額
・資本準備金による資本欠損の填補に充てた金額(旧商法ベース)

■平成18年5月1日(会社法施行日)以後に実施した無償減資
・資本金又は資本準備金から「その他資本剰余金」に振替えられた金額で、かつ、1年以内に損失填補に充てられたもの


過去に行った無償減資に係る欠損填補額を「資本金等の額」に反映することができるのは、平成27年4月1日以後に開始する事業年度以降ですのでご留意ください。

※ 税務上の問題や会計処理について、事前に税理士等にご相談のうえ、会社の状況に応じてご検討をお願いいたします。

(参考)100%減資
100%減資とは、発行済み株式の全て(100%)について消却する方法です。
100%減資を行った上で、新たに株式を発行し、資本金の額を増加します。
100%減資によって資本金の額ををいったんゼロにして既存株主の株式を会社が無償で取得し消却することで、既存株主は株主としての地位を失うことになります。
減資と増資を組み合わせる(既存の全株主を株主から除外した上で新しい出資者に出資させる)ことで、株主の総入替が可能となるため、企業再生のスキームにおいて100%減資が多く活用されています。
既発行の株式のすべてについて会社が強制的に取得するので、全部取得条項株式を用いるケースが多いです。


注意点

債権者保護手続

株式会社が資本金の額を減少する場合、会社債権者にとって重大な利害が生じる可能性があるため、会社の債権者に対して異議を述べる機会を与える必要があります。
会社は、原則として、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならなりません(会社法449条2項)
a.資本金の額の減少の内容
b.計算書類に関する事項として会社計算規則第180条で定めるもの
c.債権者が一定の期間内(※1か月を下ることはできません。)に異議を述べることができる旨


なお、定款に定めた公告方法が官報以外の方法である場合には、官報公告と併せて定款に定めた方法により公告することで、個別の催告を省略することができます。

もし、異議を述べた債権者が現れた場合には、資本減少をしてもその債権者を害するおそれがないときを除いて、債権者に対して、①弁済する または②相当の担保を提供する もしくは、③債権者に弁済することを目的として相当の財産について信託会社等に信託しなければなりません。

株式との関係

会社法では、資本金と株式の関係が完全に分離されたため、資本金の額を減少しても、当然には株式が消却されない点に注意が必要です。
減資と伴に株式の数を減少するためには、自己株式の取得(会社法155条)および株式の消却(会社法178条)が必要となります。
なお、株式の消却によって、「発行済株式総数0株」とすることは、その後の会社の運営が不可能となるので認めることは困難とされていますが、これと同時に新たに株式を発行して発行済株式総数を1株以上とするのであれば可能と解されています。


2.合同会社の場合

合同会社の資本金の額は、次のいずれかの場合に減少します。

① 退社する社員に対して持分の払戻しをする場合(会社法627条の債権者保護手続を実施した場合に限る)
② 社員に対して出資の払戻しをする場合(会社法627条の債権者保護手続を実施した場合に限る)
③ 損失の填補に充てる場合(会社法627条の債権者保護手続を実施した場合に限る)

上記のいずれについても会社法627条の債権者保護手続を実施した場合に限ります。

※社員の持分の全部が払い戻される(社員が退社する)場合は、資本金の額の減少に伴う変更登記とともに、「社員の退社」による変更登記が必要となりますので、ご留意ください。


資本減少に伴う登記手続の流れ

資本金の額の減少に伴う登記手続について、ご依頼の流れは、次のとおりです。
※登記記録の情報や事案に応じて、手続きの進め方が異なりますので、あらかじめ ご了承願います。

STEP1
資本減少に関する登記手続のご相談やご依頼をご検討の方は、お電話またはメールにて相談日時のご予約をお願いいたします。

※ 電話受付時間は、9時~19時30分です。
※ 土・日・祝祭日につきましてもご相談をお受けいたします。
※ ご相談は初回無料です。
STEP2
現在の登記記録を確認のうえ、お客様のご意向をお聞きし、必要となる手続きや必要書類等についてご説明いたします。

お客様にご用意いただくもの
 ●登記事項証明書の写し
 ●定款の写し
 ●法人税申告書(別表二)の写し
 ●お客様の本人確認資料(運転免許証やパスポートなど)
STEP3
会社法に基づき必要な手続きを行います。
【株式会社・特例有限会社】
 株主総会決議 など
【合同会社】
 総社員の同意
 など
STEP4遺産分割協議の成立
登記記録の情報およびお客様よりお預かりした書類に基づき、議事録や登記申請書等をご用意いたします。
ご希望により、資本減少公告の申し込み手続を代行いたします。
STEP5相続人調査・必要書類の収集
登記手続に関するご依頼に際しまして、議事録や委任状等にご捺印を頂戴いたします。
STEP6手続費用のお振込み
登記手続に関する費用が確定しましたら、費用計算書等にて、手数料をお知らせいたします。
大変お手数ですが、指定口座宛に登記手続費用をご送金ください。
STEP7
登記申請に必要となる書類のすべてが整い、登記手続に関する費用についてご送金が確認できましたら、法務局に会社に関する変更登記を申請いたします。
登記手続が完了しましたら、登記事項証明書およびお預かり書類一式についてご返却いたします。


資本減少に伴う登記手続費用

※下記金額は参考価格であり、事案に応じて報酬金額等が異なりますので、あらかじめ ご了承願います。

手続内容司法書士報酬(税込)登録免許税
資本金の額の減少44,000円~30,000円~
資本減少公告(官報掲載)申込代行5,500円~【例】61,018円(17行)
✽1行22字 3,589円 × 行数
[決算公告同時掲載の場合]
【例】148,662円(4枠)
✽1枠 37,165円


「減資にしたいが、手続きの方法がよく分からない」
「面倒な書類作成や手続きは専門家に任せて本業に専念したい」
「資本減少に伴う登記手続について、専門家に任せて確実に行いたい」
「急いでに資本減少に関する登記手続を完了させたい」
「手間を掛けないで資本金の額を減らしたい」
「法務局へ行くのが面倒だ」



 司法書士 鈴木雅勝(愛知県司法書士会所属 第1208号)

資本減少に伴う登記手続に関するお困りごとを解決いたします!
お気軽にお問い合わせください。





■名古屋市営地下鉄桜通線 車道駅下車 1番出口より 徒歩1分
■名古屋市営地下鉄東山線 千種駅下車 1番出口より 徒歩5分
(JR中央本線 千種駅は地下へ降りると地下鉄 千種駅に繋がっています。)

■名古屋市交通局 市バス【栄15号系統 栄行き】または【栄15号系統 新守山駅行き】

 停留所「桜通車道」下車 徒歩1分

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