遺言書作成 相談支援:名古屋市の司法書士リーガルコンパス

名古屋近郊の遺言作成など遺産相続に関する手続や相談を支援する愛知県名古屋市東区の司法書士事務所

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遺言執行者と遺言の実現

遺言執行者とは
遺言書が有効であることを確認したら、遺言の内容を具体的に実現していくことになります。
ただし、遺言が有効に効力を生じたからといって、遺言書に記載されている内容のすべてが、ただちに具体化されるものではありません。

遺言で定めることができる事項(遺言事項)には、それを実現するために何らかの手続きを要しないものと、それを実現するために何らかの手続きを必要とするものがあります。
      
この遺言を実現するために何らかの行為をしなければならない事項について、それを実現する?為のことを「遺言の執行(いごんのしっこう)」といいます。
      
相続人自らが遺言の執行に取り組むことはできますが、相続人の間において利害が衝突して相続人相互に協力が得られず手続きが滞ってしまうことも想定されます。
また、相続人が遺言者の意思を尊重して遺言を執行されるかどうか、遺言書作成時には分かりません。
もしかすると、きちんと遺言内容が実現されない可能性もあります。
      
そこで、中立的立場にある者に対して、相続手続を行う権限を委ねることによって、相続手続をスムーズかつ確実に進めることができ、相続人間の紛争を予防・緩和することが期待されます。
      
公平な立場から遺言の内容を実現する者を「遺言執行者(いごんしっこうしゃ)」といいます。

遺言執行者は、遺言書に書かれている内容や遺言者の意思を実現するために、相続財産を適切に管理し、遺産の分配や名義変更など各種の手続きを行います。

●遺言執行者の必要性

法定の遺言事項(法律により遺言によって定めることが認められている事項)の中には、遺言執行者のみが執行できるものと相続人でも執行できるものがあります。
具体的には、次のとおり挙げられます。

① 遺言執行者のみが執行できるもの
  認知
  相続人の廃除または廃除の取消し

② 遺言者執行者または相続人が執行できるもの
  遺贈
  財団法人の設立(寄附行為)
  信託の設定
  祭祀承継者の指定
  生命保険受取人の指定・変更


①の手続については、遺言執行者のみが執行できるものとされているため、遺言の内容を実現するために遺言執行者は欠かすことの出来ない存在となります。

②の手続については、相続人においても手続を行うことが許容されていますので、遺言執行者の存在は必要的とまでは言えません。
ただし、遺贈(遺言によって他人財産を譲ること)については、遺言執行者を指定されることをお勧めいたします。
なぜならば、遺言執行者がいない場合、遺贈による遺産の名義変更手続を行うには、法定相続人全員の関与(例えば、名義変更手続に要する書類への実印の押印や印鑑証明書の提出)が必要となるためです。
遺言を残すケースでは、相続人間において何らかの争いの種が存在しているなど、他の相続人から協力を得ることが期待できない場合が少なくありません。
したがって、遺言内容をスムーズに実現するには、遺言執行者の存在が重要なのです。
     
●遺言執行者になるための資格

未成年者および破産者が遺言執行者に就任することは認められません(民法1009条)が、その他について特に制限が設けられているものではありません。
したがって、相続人や受遺者(遺贈を受ける者)が遺言執行者に就くことは可能であり、法人が遺言執行者に就任することもできます(複数人を遺言執行者とすることも認められています。)。

ただし、高度な法律知識が必要となるケースでは、弁護士や司法書士など法律専門家を遺言執行者にすることが望ましいといえます。

なお、司法書士は、遺言執行について、業務として行うことが【法律の規定】により認められている数少ない法律専門職です(司法書士法第29条、司法書士法施行規則第31条・平成21年3月23日民二第726号法務省民事局民事第二課長回答)。

司法書士が遺言執行者に就任することで、専門家として培われた経験と知見により、遺言内容の実現をサポートすることが可能です。

●遺言執行者の選び方

1.遺言書による指定

遺言者本人の意思を理解する者(遺言者が最適と考える者)を遺言執行者として選任することによって、遺言執行がより確実なものとなります。
そこで、遺言者自らが生前において遺言執行者を指定することが認められています。
      
遺言者が遺言執行者を指定するには、遺言による必要があります(民法1006条1項)。
遺言書ではない文書や口頭で指名したとしても、遺言執行者を指定したとは認められません。
なお、遺言者本人が遺言執行者を指定することができるほか、遺言執行者の指定を特定の第三者に委託することもできます。

2.家庭裁判所による選任

遺言において遺言執行者の指定がない場合や、指定された者が辞退や死亡した場合には、受遺者(遺贈を受ける者)や相続人等は、家庭裁判所に対し、遺言執行者の選任を申し立てることができます(民法1010条)。

遺言執行者の選任手続について、ご不安な点やお困りごとがございましたら、お気軽に弊事務所にご相談ください。
司法書士にご依頼されますと、申立書(家事審判申立書)など必要書類の作成だけでなく、戸籍謄本、住民票等、必要書類の取得・収集もお任せいただけますので、お客様のご負担が軽減いたします。



遺言執行者の選任手続

■ 申立人
利害関係人(相続人、遺言者の債権者、遺贈を受けた者など)

■ 申立先
遺言者の最後の住所地の家庭裁判所

■必要書類
・遺言執行者選任申立書
・遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し
※申立先の家庭裁判所に遺言書の検認事件の事件記録が保存されている場合(検認から5年間保存)は不要
・遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
※申立先の家庭裁判所に遺言書の検認事件の事件記録が保存されている場合(検認から5年間保存)は不要
・遺言執行者候補者の住民票または戸籍の附票
・利害関係を証する資料(相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)等)

■必要費用
・執行の対象となる遺言書1通につき収入印紙800円
・予納郵券(金額および内訳については家庭裁判所により異なります。)
 [例]名古屋家庭裁判所の場合は80円×10(申立人が遺言執行者候補者の場合は80円×5)

●遺言執行者の職務と権限

遺言執行者は、次のとおり遺言内容の実現のために重要な職務を行い、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するなど、責任の重い役割を担います。
【遺言執行に伴う手続きの概略】
1. 相続人等関係者への通知
 相続人や遺贈を受ける予定の者(受遺者予定者)など利害関係人に対して、遺言執行者に就任した旨を通知する
2. 相続財産の調査および管理
 遺言執行者は相続財産に管理処分権限を遺産の状況を調査して管理を開始する
3.遺言執行に関する説明および確認
 相続人等に対して留意事項を説明し、受遺者予定者に対して遺贈を受けるか否かの意思を確認する
4. 遺言の執行
 ●遺言による認知がある場合、就任後10日以内に市町村役場に認知届を提出する(戸籍法64条)
 ●遺言による相続人の廃除がある場合、家庭裁判所に廃除の申立てを行う(戸籍法63条1項、同法97条)
 ●遺言の対象財産に不動産がある場合は、遺言の内容に従って相続登記の申請手続を行う
 ●遺言書の記載に従って、遺産(預貯金、株式など)の名義変更手続を行う
 ●その他、相続財産の管理や遺言の執行に必要な一切の行為を行う
 ※遺留分減殺請求権の行使など、遺産や遺言執行に関する訴訟が提起された場合、遺言執行者は訴訟当事者として対応する
5. 遺言執行事務の終了報告
 遺言執行に関連する事務の全てが終了した旨を相続人や受遺者に対して通知する

※遺言執行者のいる場合、相続人は遺言執行者による執行の妨げとなる行為について禁止され(民法1013条)相続人が遺言の執行を妨害する行為をした場合、その行為は「無効」になりますのでご留意ください。

相続人の中から遺言執行者を選ぶ事例は多いですが、遺言執行者に課せられる責任や作業負担は重く、事案によっては法律上の知識が求められることもありますので、司法書士など法律専門家を遺言執行者として選ぶことをお勧めいたします。

相続手続の多くは、普段の生活では経験することのない、不慣れな作業の連続です。
一般の方がすべて自分のみで遺言執行に伴う事務をこなすのは非常に困難です。
相続手続きがスムーズに行われずに遅延してしまうと、他の相続人からあらぬ疑いや不信感を抱かれるおそれがあります。
遺言執行者としての職務について迅速・誠実に対応することは、相続問題を早期かつ円満に解決するポイントになります。
したがって、公正中立な立場にある法律専門職に対して、遺言執行に関する事務を任せる意義は大きいと言えます。

弊事務所では、遺言書作成サポートとともに、遺言執行者選任申立てに関する手続きの支援や遺言執行者の就任、遺言内容の実現に伴う各種手続のサポートにつきましても、ご依頼を承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 司法書士 鈴木雅勝(愛知県司法書士会所属 第1208号)

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