トップページ > How to 会社設立 > LLP設立のメリット
万一のとき、出資者(組合員)の責任が限定される |
出資者は組合債権者に対してその出資の限度でしか責任を負いません。例えば、有限責任事業組合(LLP)の出資者である組合員は、組合が多額の負債を負ったとしても、最終的には自分が出資した資金を諦めれば済むことになります(有限責任性)。
個人事業主や合名会社・合資会社・民法上の組合の出資者は、出資額を超えて会社の負債や損害のすべてについて責任を負わなければなりません(無限責任性)。
【注意点】
有限責任事業組合(LLP)の(連帯)保証人となる場合や不法行為により債権者に損害を与えた場合は、負債や損害のすべてについて責任を負います。
個人事業主や合名会社・合資会社・民法上の組合の出資者は、出資額を超えて会社の負債や損害のすべてについて責任を負わなければなりません(無限責任性)。
【注意点】
有限責任事業組合(LLP)の(連帯)保証人となる場合や不法行為により債権者に損害を与えた場合は、負債や損害のすべてについて責任を負います。
決算期を自由に選択できる |
有限責任事業組合(LLP)にすると決算期は自由に選ぶことができますし、決算期を年に2回とすることも可能です。個人事業の場合は年に1回、1月1日から12月31日までと決まっています。
【株式会社と比較して】 |
迅速かつ柔軟な意思決定が可能(内部自治) |
株式会社のように株主総会招集手続など煩雑な手続きを踏まえる必要がないため、有限責任事業組合(LLP)では迅速な意思決定や会社運営が可能です。
損益や権限の配分について、出資比率に拘束されず自由に決められる |
組合契約書に定めることにより、有限責任事業組合(LLP)の運営について公正・迅速な対応が可能となり、運営上のトラブルを防止することができます。柔軟に規定できる主な内容は次のとおりです。
- 業務執行の決議要件
- 組合員の損益分配の割合
- 組合員の新規加入・脱退について
- 特別の解散事由
内部組織の取り決めが柔軟 |
有限責任事業組合(LLP)では、組織構成などについて組合員の合意によって柔軟に決めることができます。 株式会社における取締役などのように法律で設置が義務付けられている機関はありません。
役員の任期に関する定めがない |
株式会社のような役員の任期に関する定めがないため、有限責任事業組合(LLP)登記など役員変更に関する手続きに時間とコストを掛ける必要がありません。
決算公告義務がない |
株式会社は、会社の規模の大小、株式の公開・非公開にかかわらず決算公告が義務付けられていますが、有限責任事業組合(LLP)には決算公告義務がありません。従って、決算公告に必要な手間やコストが発生しません
設立費用が安い |
組合契約書は、公証人による認証手続が不要であり、登記申請の際の登録免許税が株式会社に比べて少額で済むので、設立コストをかなり抑えることができます。
【合同会社(LLC)と比較して】 |
パススルー課税制度(構成員課税)の利用によって節税効果が期待できる |
株式会社や合同会社(LLC)では会社の利益に対し法人税が課されます。また、その後利益を出資者に分配をした時点でさらに課税されるという、いわゆる「二重課税」が実施されています。しかし、有限責任事業組合(LLP)には法人格がないため法人税が課されず、出資者に分配された時点で初めて課税されます。これを構成員課税(パススルー制度)といいます。
なお、損益分配を受けた組合員は各自の責任で確定申告などの納税手続を行う必要があります。
なお、損益分配を受けた組合員は各自の責任で確定申告などの納税手続を行う必要があります。
【注意点】 |
法人格が与えらず、許認可取得や契約行為の主体になれない |
有限責任事業組合(LLP)には法人格がないため、許認可取得や契約行為の主体となることが認められません。従って、許認可事業を行う際は、組合員が個人の事業主と同様に許認可申請をすることで対処します。
また、契約は有限責任事業組合(LLP)の名称ではなく、肩書き付きの組合員名(例えば、「○○有限責任事業組合 組合員□□」)で結ぶことになります。なお、契約の効果は、組合員全員に及びます。
利益については内部留保が認められないため、融資が受けられにくいという点にも注意が必要です。
業務範囲に制限がある |
有限責任事業組合(LLP)として禁止されている業務(ex.宝くじ、勝馬投票券などの購入)がありますのでご注意ください。
詳細については、(Q&A)をご参照ください。
詳細については、(Q&A)をご参照ください。
事業の終期を定めなければならない(存続期間がある) |
株式会社や合同会社(LLC)とは異なり、有限責任事業組合(LLP)では存続期間を必ず定めなくてはなりません。
有限責任事業組合契約は、あくまで共同研究開発など特定の目的のために結ぶことが想定されているため有効期限のある契約であり、株式会社などのように半永久的に存続することは認められません。
なお、後々の事情によって、当初定めた期間よりも長く有限責任事業組合(LLP)を存続させたい場合もありますので、有限責任事業組合契約の変更により、存続期間を延長することが可能です
有限責任事業組合契約は、あくまで共同研究開発など特定の目的のために結ぶことが想定されているため有効期限のある契約であり、株式会社などのように半永久的に存続することは認められません。
なお、後々の事情によって、当初定めた期間よりも長く有限責任事業組合(LLP)を存続させたい場合もありますので、有限責任事業組合契約の変更により、存続期間を延長することが可能です
出資者(組合員)が2名以上必要である |
株式会社、合名会社や合同会社(LLC)が出資者1名以上で設立できるのに対し、有限責任事業組合(LLP)では、出資者が最低2名以上必要となります。なお、法人も出資者になることができます。
出資のみの組合員は認められない(出資=業務執行) |
有限責任事業組合(LLP)では、組合員の全員が業務に関与する必要があります。つまり、特定の組合員にだけ業務を任せ、業務をまったく担当しない組合員を置くことは認められません。
社会的認知度が低い |
組合員の頻繁な加入・脱退には不向き |
組合員の新規加入・脱退には、その都度、全員の意思決定に基づく有限責任事業組合契約の変更手続、登記申請や損益の再計算が必要であるなど手間と費用が掛かります。
組合員の頻繁な異動が予想される場合には注意が必要です。
組合員の頻繁な異動が予想される場合には注意が必要です。
株式会社や合同会社(LLC)に組織変更できない |
会社の法人格の同一性を保持したまま他の種類の会社に変更することを「組織変更」といいます。有限責任事業組合(LLP)は、合同会社(LLC)のように株式会社など他の種類の会社に組織変更することは認められていません。
従って、株式会社に変更したい場合は、有限責任事業組合(LLP)を解散して、新たに株式会社を設立しなくてはなりません。
従って、株式会社に変更したい場合は、有限責任事業組合(LLP)を解散して、新たに株式会社を設立しなくてはなりません。
労務の出資は認められない |
合名会社や合資会社では、信用・労務の出資が認められていますが、出資者(組合員)が有限責任しか負わない有限責任事業組合(LLP)では、債権者保護の観点から労働の提供を出資財産とすることができません。
【企業形態の特徴と比較】 |
種類 | 株式会社 | 合同会社 (LLC) |
合名会社 | 合資会社 | 有限責任 事業組合 (LLP) |
個人事業主 |
出資者の責任 | 有限 | 無限 | 無限と有限 | 有限 | 無限 | |
法人格 | 有 | 無 | ||||
権利義務の 帰属主体 |
会社 | 組合員 | 事業主個人 | |||
課税方式 | 法人課税 | 構成員 (組合員) に課税 |
事業主個人 に課税 |
|||
議決権・ 損益配分 |
出資比率による (会社法の規定の 範囲内において 柔軟に規定できる) |
定款で柔軟に規定できる | 組合契約書で 柔軟に規定できる |
- | ||
機関設計 組織内部規定 |
会社法の規定による 制約がある |
定款で柔軟に規定できる | 組合契約書で 柔軟に規定できる |
- | ||
必要出資者数 | 1人以上 | 2人以上 | 1人 | |||
決算公告義務 | あり | なし | ||||
組織再編 | 会社間で可能 | 会社との間では不可 | ||||
組織変更 | 持分会社との間で可能 | 他の持分会社 及び 株式会社との間で可能 |
会社との間では不可 | |||
定款認証 | 必要 | 不要 | ||||
設立登記 | 必要 | 不要 | ||||
設立手続 | 煩雑 | 簡便 | 不要 |