04.個人再生について |
Q.個人再生とはどのような制度なのですか?
Q.個人再生は誰でも利用できるのですか?
Q.かつて自己破産したことがある人でも、個人再生を使えますか?
Q.自己破産と個人再生の違いは何ですか?
Q.個人再生によって借金はどのくらい少なくなりますか?
Q.万が一、再生計画通りの支払いができなくなったら、どうなりますか?
Q.ハードシップ免責とはどういう制度なのですか?
Q.小規模個人再生と給与所得者等個人再生の違いは何ですか?
Q.家族に知られず個人再生手続を利用することはできますか?
Q.個人再生の申立てをすれば、取立ては止みますか?
Q.個人再生の手続きでは、住宅ローンがある場合どのようになりますか?
Q.個人再生の住宅ローン特則とは何ですか?
Q.住宅ローンを滞納して1年経ってしまいましたが住宅ローン特則は利用できますか?
Q.個人再生を使うと滞納した税金も減額されますか?
Q.再生計画に反対した貸主の借金も減額されますか?
Q.個人再生をすると一定の職業に就職できなくなるのですか?
Q.個人再生を使うと、保証人になっている人の債務も減りますか?
Q.個人再生をしたことは、勤め先に判明しますか?
Q.個人再生をすると、子供に影響がありますか?
Q.個人再生を使うと家具などを持っていかれてしまいますか?
Q.個人再生の「住宅」とはどんなものですか?
Q.個人再生をすると、引越しをすることができなくなりますか?
Q.個人再生をすると、賃貸アパートから出ていかなければなりませんか?
Q.個人再生手続では、自動車ローンがある場合はどのようになりますか?
Q.個人再生を利用すると銀行を全く使えなくなりますか?
Q.個人再生をすると、銀行やサラ金から借金ができなくなりますか?
Q.個人再生するとその後は一生ローンが組めなくなりますか?
Q.借金の原因がギャンブルでも個人再生は使えますか?
Q.個人再生を利用すると、住宅ローン会社が申し立てた競売はどうなりますか?
Q.個人再生は、任意整理のように債権者を自由に選択することができますか?
個人再生とはどのような制度なのですか? |
「個人再生」とは、住宅等の資産を処分されずに維持したまま、大幅に減額された借金(減額の程度は借金の額や保有している資産によって異なります。)を裁判所に認められた返済計画に基づいて、原則として3年間で分割して返済するという手続きです。 減額後の借金を完済すれば、その他の借金については法律上返済する義務が免除されます。 |
|
個人再生は誰でも利用できるのですか? |
かつて自己破産したことがある人でも、個人再生を使えますか? |
小規模個人再生は、自己破産の決定を受けたことがある人でも、いつでも利用することができます。この場合、住宅ローン特則を使うことも可能です。 これに対して、給与所得者等再生については、自己破産による免責決定から7年間は利用できません。 |
|
自己破産と個人再生の違いは何ですか? |
個人再生と自己破産の両者は、裁判所を利用して債務整理を行うという点で共通していますが、(1)借金の減額・免除(2)財産処分の有無(3)資格制限の有無(4)利用条件(5)借金の理由による制限の5つの点で異なります。 (1)自己破産は、免責許可決定を受けることによって借金が免除されるため、以後債権者に返済する必要がなくなります。個人再生は、借金は大幅に減額されますが、減額後の借金を原則3年間で分割して返済していかなければなりません。(住宅ローンについては、返済期間の延長が可能ですが、減額はされません。) (2)自己破産をすると生活必需品ではない価値の高い財産(現在価格が20〜30万円以上の財産。ただし、現金の場合には99万円以上。)が処分されます。個人再生の場合には、債権者に対し保有している財産の価値相当額について、最低限返済しなければなりませんが(これを「清算価値保障」といいます。)、財産を処分されることはありません。ただし、住宅以外の財産で、ローンが残っている場合(例えば、オートローンが残っている自動車)は処分されてしまうことがあります。 (3)自己破産をすると、手続きの期間中、生命保険募集人や警備員等特定の資格を必要とする職業に就くことが制限されてしまいます(これを「資格制限」といいます)。個人再生の場合には資格制限はありません。 (4)自己破産を申し立てるのに必要とされている条件は、返済するだけの収入や財産が無いことのみですが、個人再生の場合には、利用者に将来にわたり継続・反復して収入が見込めることや借金総額(住宅ローンを除く)が5000万円未満であることが要求されます。 (5)個人再生は、自己破産と異なり、借金の原因が浪費やギャンブルなどであっても手続きに影響することはありません。 |
|
個人再生によって借金はどのくらい少なくなりますか? |
万が一、再生計画通りの支払いができなくなったら、どうなりますか? |
再生計画を変更(延長)することができる場合があります。 病気や失業などによって収入が無くなってしまった場合など、やむを得えない事情で再生計画に従って返済することが困難となった場合は、裁判所に申し立てることによって、支払期間の延長などが認められる場合があります。 しかし、厳格な条件や基準を満たす必要がありますので、基本的に再生計画を変更することはできないものと考えた方が良いでしょう。 |
|
ハードシップ免責とはどういう制度なのですか? |
小規模個人再生と給与所得者等個人再生の違いは何ですか? |
家族に知られず個人再生手続を利用することはできますか? |
家族に対して借金をしていない限り、裁判所から家族等に連絡がいくことはありませんので、家族に内緒で個人再生の手続きを進めることは可能です。 しかし、家族が同居している場合は、個人再生申立ての際に、裁判所から同居の家族の収入を証する書面など家族の協力が必要となる書類の提出を求められます。 また、裁判所から申立人宛に郵便が届きますので、同居の家族に内緒で個人再生手続ができるという保障はありません。 無理に隠して後になってバレてしまうよりも、事前にきちんと話をして家族の協力を得ておくことをおすすめします。 |
|
個人再生の申立てをすれば、取立ては止みますか? |
個人再生の申立てをする、もしくは司法書士等専門家が受任をすれば、債権者の取立てや支払催促を止めることができます。 金融庁事務ガイドラインにより、債権者は、債務者が司法書士や弁護士に依頼した旨の通知又は調停、破産その他裁判手続をとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求をすることを禁じられています。 |
|
個人再生の手続きでは、住宅ローンがある場合どのようになりますか? |
残念ながら、個人再生では住宅ローンの減額をすることができず、従来どおり支払いを続ける必要があります。ただし、住宅ローンの返済計画の見直しや返済の一時猶予を実現することが可能な場合(「住宅ローン特則」)があります。 「個人再生」では、住宅ローンの支払いを継続することを条件にその他の借金を減額することができるため、住宅ローンの支払い自体ができそうに無い場合は、「自己破産」を選択しなければならない可能性もあります。 なお、住宅ローン特則を利用するためには、以下の要件を満たしていることが必要となります。
|
|||
個人再生の住宅ローン特則とは何ですか? |
住宅ローン特則とは、再生計画が認可されて支払いが始まった後に、住宅ローンの支払いが困難となったことを原因として、再びサラ金業者などからお金を借りてしまうことを懸念して設けらた制度です。 住宅ローン特則を利用することにより、完済までの期限を延長することで毎月の支払金額を少なくしたり、再生計画の支払期間中のみ支払金額を少なくするなど、住宅ローンの支払方法の変更が認められます。 ちなみに、住宅ローン特則を使った場合の支払期限の延長期間は、10年以内です。 ただし、70歳までに完済しなければなりません。 もちろん貸主の同意があれば10年以上の延長も可能ですし、70歳を超える年齢での完済も可能です。 なお、住宅ローン特則を使っても、住宅ローンの残高が減額されることはありませんので注意してください。 |
|
住宅ローンを滞納して1年経ってしまいましたが住宅ローン特則は利用できますか? |
住宅ローンの返済が滞ると、「代位弁済」といって保証会社が債務者の代わりに銀行に対して返済してしまうことがあります。 代位弁済が行われてしまうと債権が銀行から保証会社に移り、債権者が保証会社に変わります。 この場合でも、保証会社が代位弁済してから6ヶ月以内であれば、住宅ローン特則を利用することが認められますが、それを超えてしまうと住宅ローン特則を使うことはできませんので注意が必要です。 一度、司法書士等専門家にご相談することをおすすめします。 |
|
個人再生を使うと滞納した税金も減額されますか? |
個人再生を利用しても滞納している税金は減額されません。 滞納した税金を一括して支払えない場合には、正当な理由により支払いが困難である旨を税務署や市区町村役場に伝えて相談することにより、場合によっては、支払方法や支払回数の変更が認められるケースがありますので、一度窓口にお問い合わせください。 |
|
再生計画に反対した貸主の借金も減額されますか? |
再生計画の効力は、計画に反対した貸主(債権者)にも及びます。 したがって、債権者は、たとえ再生計画に反対しても、再生計画の認可決定が確定してしまうと、計画に定められた条件に拘束されます。 つまり、再生計画に反対した貸主の借金も減額されるのです。 |
|
個人再生をすると一定の職業に就職できなくなるのですか? |
個人再生を利用しても、自己破産とは異なり、資格制限は生じません。 このため、宅地建物取引主任者、警備員、証券取引外務員、生命保険募集人などはそのまま職業を続けることができます。 |
|
個人再生を使うと、保証人になっている人の債務も減りますか? |
個人再生によって申立人の借金が減額されると、保証人の債務についても減額されるようにも思えます。 しかし、個人再生手続を行っても、保証人の債務は減額されません。 個人再生によって申立人の借金が減ったとしても、保証人の支払義務は変わりませんので、保証人は貸主に対して借金全額を払わなければならないのです。 この結果、事前連絡せずに個人再生の申立てをすると、保証人に迷惑をかけることとなりトラブルに発展する可能性があります。 また、支払いが困難である場合など必要に応じて、保証人についても債務整理を検討しなければなりません。 したがって、個人再生を申し立てる場合には、保証人に対して事前にしっかりと説明することをおすすめします。 なお、住宅ローンの保証人には個人再生の効力が及ぶとされているため、保証人への迷惑について、あまり心配する必要はないでしょう。 |
|
個人再生をしたことは、勤め先に判明しますか? |
個人再生をしたことが勤務先に知られることは、ほとんどありません。 なぜなら、裁判所は、勤務先の企業が貸主になっていない限り、勤務先に対して本人が個人再生をしたことを通知しないからです。 もっとも、個人再生の申立てをして、開始決定がなされると、そのことは官報という政府発行の機関紙に掲載されますので、勤め先やその関係者が官報を読んでいる場合、個人再生をしたことが発覚してしまう可能性はゼロではありませんが、丹念に読んでいる人は少ないようですので、周囲の人に知られることをさほど心配する必要はありません。 また、仮に勤め先が個人再生を利用した事実を知ったとしても、個人再生をしたことを理由として、社員を解雇したり不利益な扱いをしてはいけないことになっています。 |
|
個人再生をすると、子供に影響がありますか? |
個人再生をしても子供に影響はありません。 個人再生を利用したことは、ほとんどの人が目にすることのない「官報」という政府発行の機関紙に掲載されるものの、戸籍や住民票には記載されませんので一般に知られることがなく、親が個人再生をしたことが、子供の進学や就職の際に不利に働くことはありません。 また、子供が結婚するときにも影響はありません。 したがって、子供のことを心配して個人再生をためらう必要はありません。 |
|
個人再生を使うと家具などを持っていかれてしまいますか? |
個人再生は、住宅ローンなどの返済に困っている人が、住宅や自動車など資産を手放すことなく生活の再建を図ることを目的とする制度です。 個人再生を利用しても、家財道具や財産が処分されることはありませんので、申立て以前と変わらぬ生活を続けることが認められます。 |
|
個人再生の「住宅」とはどんなものですか? |
個人再生でいう「住宅」とは、申立人が住むために所有している建物です。 このため、事務所・店舗などの事業用に利用しているものは、原則として「住宅」としては認められません。 住宅と店舗などが兼用となっている場合、「住宅」として認定されるためには、住宅部分が床面積の2分の1以上を占める必要があります。 なお、「住宅」には、新築・中古、一戸建て・マンションのいずれもが含まれます。 |
|
個人再生をすると、引越しをすることができなくなりますか? |
自己破産をして破産管財人が選任された場合には、破産手続が終了するまでの間、裁判所の許可を得なければ引越しをすることができなくなります。 これに対して、個人再生をした場合には、制限なく引越しをすることができます。 |
|
個人再生をすると、賃貸アパートから出ていかなければなりませんか? |
賃貸借契約の内容にもよりますが、一般に個人再生を理由として、直ちに賃貸アパートを追い出されることはありません。 なお、家賃を滞納している場合は、そのことを理由に退去を迫られることがありますのでご注意ください。 |
|
個人再生手続では、自動車ローンがある場合はどのようになりますか? |
個人再生では、基本的に整理の対象とする借金を任意に選択することができませんので、自動車ローンについても他の一般債務と同様に債務整理の対象となります。 自動車ローンの場合は、ローンを完済するまで、自動車の所有権はローン会社に留保されている場合(所有権留保)がほとんどですから、個人再生手続を行うと、ローン会社は債権回収のために自動車を引き上げてしまうことになります。 したがって、自動車をどうしても手放したくないという場合は、債務整理の対象を選択できる特定調停か、任意整理の手続きを選択されると良いでしょう。 なお、オートローンを利用していない場合には、自動車を持っていかれることはありませんし、家財道具等が取られたりすることもありませんのでご安心ください。 |
|
個人再生を利用すると銀行を全く使えなくなりますか? |
個人再生をすると、信用情報機関の個人信用情報に事故情報が登録されるため、5年から7年の間は、銀行からの借入れが難しくなります。 しかし、個人再生をしても銀行口座を新規に開設することは可能ですし、もちろん従来より使用している銀行口座は問題なく利用できます。 また、水道代・電気代等の引き落としを利用することも可能です。 |
|
個人再生をすると、銀行やサラ金から借金ができなくなりますか? |
個人再生をすると信用情報機関の個人信用情報に事故情報が登録されます。 このため、5〜7年間は、銀行やサラ金から借金をしたり、クレジットカードの発行を新たに受けることが難しくなります。 |
|
個人再生するとその後は一生ローンが組めなくなりますか? |
個人再生を行うと、個人信用情報の事故情報(いわゆる「ブラックリスト」)に5年から7年間登録されてしまいますので、この間はローンを組むことが困難になります。 しかし、この期間が経過すれば事故情報の登録は抹消され、従来どおりにお金を借りたり、ローンが組むことが可能となります。 |
|
借金の原因がギャンブルでも個人再生は使えますか? |
自己破産の場合には、借金の原因がギャンブルであることは、免責不許可事由にあたるため、借金の原因によって借金の免除が認められない可能性があります。 個人再生の場合には、借金の原因が手続きに影響を与えることはありませんので、浪費やギャンブルを理由とする借金についても問題なく利用することができます。 |
|
個人再生を利用すると、住宅ローン会社が申し立てた競売はどうなりますか? |
個人再生の手続きにより、住宅ローン会社が申し立てた競売を止めることができます。 まず、住宅ローン特則を含む再生計画の認可決定が確定した後には、再生計画の認可決定を競売を行っている裁判所に提出すると、競売を止めることができます。 また、住宅ローン特則を含む再生計画の認可決定が確定する前であっても、裁判所がその再生計画が認可される見込みがあると判断した場合、借主の申立てにより、競売を止めることがあります。 |
|
個人再生は、任意整理のように債権者を自由に選択することができますか? |
個人再生は、自己破産と同様に裁判所を通じて法的に借金を整理するため、全ての債権者を対象として手続きを進めなければなりません。 これに対し、任意整理は裁判所を通さずに行う私的な債務整理方法であるため、対象とする債権者を任意に選択することができます。 なお、個人再生と任意整理は、自己破産と異なり、(1)財産が処分されないことや(2)一定の職業に就くことが制限されない(資格制限がない)という点で共通しています。 |
|